厚生年金受給額は年収でいくら変わる?2026年早見表と平均・中央値を徹底解説
厚生年金受給額は、現役時代の年収や厚生年金への加入年数によって大きく変わります。2026年度は公的年金の支給額が改定され、老齢基礎年金の満額は原則として月額7万608円、厚生年金の報酬比例部分は前年度から2.0%引き上げられました。しかし、実際に受け取れる金額は、給与や賞与の履歴、加入期間、国民年金の納付状況などによって異なります。
年収300万円・500万円・800万円では、将来の年金にどの程度の差が生まれるのでしょうか。厚生労働省と日本年金機構の公表資料を基に、2026年版の受給額早見表、男女別の平均額と中央値、計算方法、繰上げ・繰下げ受給の違いまで整理します。老後の生活費を考えるうえで、自分の年金額を見積もるための実践的な目安を確認していきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2026年度の老齢基礎年金の満額は、対象となる生年月日により月額7万608円または7万408円。
- 要点2:年収だけでなく、厚生年金の加入年数、賞与、国民年金の納付期間によって受給額は変わる。
- 要点3:平均額や中央値は参考値。将来の見込額は「ねんきんネット」で自分の加入記録に基づいて確認するのが確実。
【2026年度最新】厚生年金受給額と受給要件をまず確認
厚生労働省が2026年1月23日に公表した「令和8年度の年金額改定について」によると、2026年度の年金額は、国民年金の基礎年金が前年度比1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引き上げとなりました。年金額は物価や賃金の変動などを基に毎年度改定されるため、前年の受給額をそのまま将来の見積もりに使うことはできません。
2026年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以降に生まれた人が月額7万608円、昭和31年4月1日以前に生まれた人が月額7万408円です。満額は原則として40年間の納付状況などに基づく金額であり、すべての人が自動的に受け取れる金額ではありません。
厚生年金は、会社員などが加入する被用者年金です。老齢基礎年金に加えて、現役時代の報酬や加入期間に応じた老齢厚生年金を受け取る仕組みになっています。
同じく厚生労働省が示した2026年度の標準的な年金額は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額23万7,279円です。これは、平均標準報酬額が賞与を含めて月額換算45万5,000円の男性が40年間就業し、夫婦それぞれが老齢基礎年金を満額受け取る場合を想定したモデルです。単身者1人の平均受給額でも、すべての夫婦世帯の標準額でもありません。
老齢厚生年金の受給要件は、原則65歳以上で、老齢基礎年金を受け取るための受給資格期間を満たし、厚生年金の加入期間があることです。受給資格期間は、保険料納付済期間や免除期間などを合算して原則10年以上必要です。なお、一定の生年月日などの要件を満たす人には、65歳より前から特別支給の老齢厚生年金を受け取れる場合もあります。
ここで押さえたいのは、厚生年金の受給額と国民年金の受給額は別々の要素から成り立つという点です。厚生年金の加入期間が長くても、老齢基礎年金の納付状況によって合計額は変わります。
【2026年版早見表】年収300万〜800万円・加入20〜40年の月額目安
厚生年金受給額を年収別に比較する際は、厚生年金の報酬比例部分だけを見るのか、老齢基礎年金との合計を見るのかを区別する必要があります。ここでは、老後の収入をイメージしやすいよう、老齢基礎年金との合計月額を概算します。
次の早見表は、年収を賞与込みの総収入とし、平均標準報酬額を年収の12分の1と仮定して試算したものです。厚生年金の加入期間は20年・30年・40年、老齢基礎年金は国民年金の納付期間などが合計40年に達し、2026年度の満額を受け取る前提です。報酬比例部分は平成15年4月以降の計算式を用いています。
| 年収の目安 | 厚生年金加入20年 | 厚生年金加入30年 | 厚生年金加入40年 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約9.8万円/月 | 約11.2万円/月 | 約12.5万円/月 |
| 400万円 | 約10.7万円/月 | 約12.5万円/月 | 約14.4万円/月 |
| 500万円 | 約11.6万円/月 | 約13.9万円/月 | 約16.2万円/月 |
| 600万円 | 約12.5万円/月 | 約15.3万円/月 | 約18.0万円/月 |
| 700万円 | 約13.5万円/月 | 約16.7万円/月 | 約19.8万円/月 |
| 800万円 | 約14.4万円/月 | 約18.0万円/月 | 約21.7万円/月 |
早見表の注意点:金額は税金や社会保険料を差し引く前の概算です。実際の年金額は、過去の給与・賞与、標準報酬月額や標準賞与額の上限、加入時期、年金額の再評価などによって変わります。将来の受給額を保証するものではありません。
また、表では厚生年金の加入年数とは別に、老齢基礎年金を40年分確保している前提を置いています。例えば、厚生年金に20年加入し、その前後に国民年金を20年間納付した人は、条件を満たせば基礎年金を満額に近づけられます。一方、年金加入期間そのものが合計20年しかない人は、基礎年金が満額にならないため、表の合計額より少なくなる可能性があります。
年収300万円で厚生年金に40年加入したケースと、年収800万円で20年加入したケースを比べると、後者の方が必ずしも大幅に多いとは限りません。報酬が高いことに加え、加入期間をどれだけ確保したかが受給額を左右するためです。
老後資金の計画では、現時点の年収だけで判断せず、今後の就業年数や、厚生年金に加入しない期間の国民年金の納付状況も含めて考えることが大切です。
【男女別の平均と中央値】実際の厚生年金受給額はいくら?
自分の年金額を考える際、参考になるのが実際の受給者の平均額です。厚生労働省の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年12月に公表された統計で、2025年度までの実績として確認できる老齢年金の平均月額には、老齢基礎年金の金額も含まれています。
厚生年金保険の第1号被保険者に関する老齢年金受給権者の平均月額は、全体で15万289円、男性で16万9,967円、女性で11万1,413円です。これは2026年度の改定後の金額ではなく、2024年度末時点の統計に基づく平均値です。
男女差が生じる背景には、単純な性別の違いだけではなく、現役時代の賃金水準や加入期間の違いがあります。厚生労働省の同じ資料では、2024年度の標準報酬月額の年度平均は男性37万3,605円、女性26万4,079円でした。賞与を含む1人当たりの標準報酬額も、男性538万4,000円、女性368万5,000円となっています。
こうした賃金や就業期間の差が、老齢厚生年金の報酬比例部分に反映されます。ただし、男女別の平均額だけで個人の受給額を判断することはできません。女性でも長期間にわたり高い報酬で加入していれば受給額が多くなる場合があり、男性でも加入期間が短ければ平均を下回ることがあります。
平均額と中央値は同じではありません。平均額は受給者全員の金額を合計して人数で割った数値です。一方、中央値は受給額を小さい順に並べたとき、中央に位置する人の金額を指します。高額の年金を受け取る人が一定数いる場合、平均額は中央値より高くなることがあります。
厚生労働省が公表した2024年度末の「男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数」を使い、1万円刻みの階級に分けられた人数を累積すると、中央値が入る金額帯は次のように推定できます。
- 全体:月額14万円以上15万円未満
- 男性:月額17万円以上18万円未満
- 女性:月額10万円以上11万円未満
これは公表された金額帯別の人数から中央値の区分を求めたもので、中央値そのものの厳密な金額を示すものではありません。また、統計上の老齢年金受給権者を対象とするため、現在65歳で新たに受給を始める人の金額と完全に一致するわけでもありません。
平均額だけを見ると、典型的な受給額を高めに見積もってしまう可能性があります。老後の生活費を考える際は、平均値と中央値の両方を参考にしながら、自分自身の加入履歴に基づく見込額を優先するのが現実的です。
【計算方法を解説】報酬比例部分・平均標準報酬額・経過的加算の仕組み
厚生年金受給額を自分で計算する際の中心となるのが、報酬比例部分です。日本年金機構の「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」では、厚生年金の加入期間と、その期間中の報酬などを基に年金額を計算すると説明されています。
報酬比例部分の計算式は、加入時期によって異なります。平成15年3月以前の加入期間と、平成15年4月以降の加入期間を分けて計算し、それぞれの金額を合算します。
平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額 × 7.125/1,000 × 平成15年3月までの加入月数
平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 平成15年4月以降の加入月数
上記は報酬比例部分の年額を求める基本的な計算式です。月額の目安を求める場合は、算出した年額を12で割ります。実際の計算では、過去の報酬を現在の価値に置き換える再評価率なども適用されるため、単純に現在の年収を式に当てはめただけでは正式な受給額になりません。
ここで重要になるのが「平均標準報酬月額」と「平均標準報酬額」の違いです。平成15年3月以前の加入期間では、計算の基礎となる標準報酬月額を基に平均を求めます。一方、平成15年4月以降は、賞与も含めた報酬を反映する平均標準報酬額が使われます。
つまり、月給が同じでも、賞与の支給状況や加入時期によって年金額が変わる可能性があります。年収別シミュレーションは大まかな比較には役立ちますが、給与履歴のすべてを反映した個人別の見込額とは異なります。
老齢厚生年金には、報酬比例部分のほかに「経過的加算」や、一定の要件を満たす場合の「加給年金額」が加わることもあります。経過的加算は、制度の移行に伴う年金額の差などを調整するための仕組みです。対象となる生年月日や加入期間などによって扱いが異なり、すべての受給者に同じ金額が加算されるわけではありません。
年金額をより正確に知るには、報酬比例部分だけでなく、老齢基礎年金、経過的加算、加給年金額など、自分に関係する項目を確認する必要があります。
【繰上げ・繰下げを比較】60歳から受給するか、75歳まで待つか
老齢年金は原則65歳から受給できますが、希望する場合は受給開始時期を前後に変更できます。60歳から64歳までに受け取り始める「繰上げ受給」と、66歳から75歳までに受け取り始める「繰下げ受給」では、年金額への影響が大きく異なります。
繰上げ受給は、早く受け取れる代わりに年金額が減額される制度です。1962年4月2日以降に生まれた人は、原則として繰上げ1か月につき0.4%減額されます。60歳から受給する場合、65歳から受給する場合と比べて最大24%の減額となり、その減額率は生涯変わりません。1962年4月1日以前に生まれた人には、原則として1か月につき0.5%、最大30%という異なる減額率が適用されます。
一方、繰下げ受給では、受給開始を1か月遅らせるごとに0.7%ずつ増額されます。70歳から受給すれば42%、75歳から受給すれば最大84%の増額です。増額された年金額は生涯にわたって適用されます。
ただし、増額率だけを見て繰下げが有利と判断するのは早計です。繰下げ期間中は年金を受け取れないため、その間の生活費を貯蓄や就労収入などで賄う必要があります。何歳まで受給するかによって、65歳から受け取り始めた場合との累計額の逆転時期も変わります。
また、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げることができますが、繰上げ受給は原則として両方を同時に請求します。加給年金額など、繰下げによる増額の対象にならないものもあるため、制度の詳細を確認することが欠かせません。
判断の目安は、早期の収入確保を優先するか、将来の毎月の受給額を増やすことを優先するかです。60代前半に生活費の不足が見込まれる人は繰上げの影響を慎重に考え、65歳以降も働ける見込みがあり、当面の生活資金に余裕がある人は繰下げも選択肢になります。
なお、年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く人は、在職老齢年金制度による支給調整にも注意が必要です。2026年度は、支給停止の基準額が65万円に引き上げられています。働きながら受給する場合は、賃金や賞与、老齢厚生年金の金額などを踏まえて確認しましょう。
【日本年金機構で確認】ねんきんネットを使った受給額の調べ方
年収別の早見表や平均額は、老後の見通しを立てるための参考情報です。実際の受給額を把握するには、これまでの年金加入記録を確認し、将来の年金額を試算することが欠かせません。
日本年金機構が提供する「ねんきんネット」では、自分の年金記録を確認できるほか、今後の働き方や受給開始年齢などの条件を設定して、将来の年金見込額を試算できます。主な確認手順は次のとおりです。
- 1.ねんきんネットにログインする:利用登録やマイナンバーカードを利用した認証など、案内されている方法で本人確認を行います。
- 2.年金記録を確認する:国民年金・厚生年金の加入期間、標準報酬月額、標準賞与額などの記録を確認します。
- 3.将来の年金額を試算する:今後の就業期間や収入、受給開始年齢などの条件を設定し、試算結果を確認します。
- 4.記録に誤りがないか確認する:転職や退職、働き方の変更などに伴う記録が反映されているかを見直します。
毎年送付される「ねんきん定期便」も、自分の年金記録や見込額を確認する手掛かりになります。記載内容に疑問がある場合や、記録の漏れが疑われる場合は、日本年金機構の相談窓口などで確認しましょう。
将来の見込額を調べるときは、現在の給与がそのまま定年まで続くとは限らない点にも注意が必要です。転職、短時間勤務、育児や介護による休業、退職後の国民年金への切り替えなど、働き方や加入状況の変化によって受給額は変わります。
特に、厚生年金に加入していない期間がある場合は、老齢基礎年金の納付済期間や免除期間も合わせて確認することが重要です。厚生年金の加入年数だけを把握していても、老齢基礎年金との合計額を正しく見積もれるとは限りません。
【厚生年金受給額】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:厚生年金を40年間払うと、月額いくらもらえますか?
A1:受給額は現役時代の報酬や賞与、加入時期によって異なります。2026年度の概算では、年収300万円で40年間厚生年金に加入し、老齢基礎年金を満額受給する前提なら、合計は月額約12万5,000円です。実際の金額は「ねんきんネット」で確認してください。
Q2:厚生年金の平均受給額は男性と女性でどのくらい違いますか?
A2:厚生労働省の2024年度末の統計では、老齢年金受給権者の平均月額は男性16万9,967円、女性11万1,413円です。いずれも老齢基礎年金を含みます。現役時代の報酬や加入期間などが異なるため、この平均額が個人の受給額を示すわけではありません。
Q3:厚生年金受給額の中央値はいくらですか?
A3:2024年度末の公表データを1万円刻みの年金月額階級で集計すると、中央値が入る金額帯は全体で14万〜15万円、男性で17万〜18万円、女性で10万〜11万円と推定できます。これは金額帯から推定した区分であり、厳密な中央値の金額ではありません。
Q4:年収が高ければ、厚生年金は必ず多くなりますか?
A4:一般に、報酬が高いほど報酬比例部分は増えます。ただし、加入期間、賞与、標準報酬の上限、過去の報酬履歴なども影響するため、現在の年収だけでは受給額を決められません。
Q5:厚生年金を20年しか払っていない場合、国民年金との合計額は少なくなりますか?
A5:厚生年金の加入期間が20年でも、それ以外の期間に国民年金の保険料を納付するなどして、老齢基礎年金の受給額を増やせる場合があります。厚生年金の加入年数と、国民年金を含めた受給資格期間・納付状況を分けて確認することが大切です。
Q6:繰下げ受給は75歳まで待った方が得ですか?
A6:75歳まで繰り下げると、対象となる年金額は最大84%増額されます。ただし、その間は年金を受け取れず、健康状態や生活費、就労収入などによって有利な選択は変わります。増額率だけでなく、受給開始までの資金と累計受給額を比較して判断しましょう。
まとめ:厚生年金受給額は早見表と自分の年金記録で判断する
2026年度の厚生年金受給額は、年収と加入年数を軸に考えることで、おおまかな見通しを立てられます。年収300万円から800万円までの試算を比べると、報酬が高いほど、また厚生年金への加入期間が長いほど、老齢厚生年金の金額が増える傾向が確認できます。
ただし、早見表の合計額は、老齢基礎年金の納付状況や報酬履歴などを仮定した概算です。厚生年金の加入年数が同じでも、国民年金の納付期間や賞与、加入時期によって受給額は変わります。男女別の平均額や中央値も、個人の将来額を直接示すものではありません。
老後の資金計画を立てるなら、まず「ねんきんネット」で加入記録と将来の見込額を確認し、毎月の生活費との差額を把握することが出発点になります。そのうえで、働き続ける期間、退職後の収入、繰上げ・繰下げ受給の選択を検討すれば、より具体的な老後設計につなげられます。
【プロの結論】年金額を判断する際に最も重要なのは、平均額と自分の受給額を混同しないことです。2026年度の改定額や早見表は目安として活用し、最終的には自分の加入記録に基づく見込額を確認することが、老後の収支を見誤らないための基本です。 (出典: 厚生 年金 受給 額(Yahoo!ニュース))