【三役の正体】大関・関脇・小結の違いと横綱が含まれない理由
日本相撲協会は、2023年12月10日公開の「大相撲クイズ No.701」で、通常の三役を「大関・関脇・小結」と説明しています。一方、待遇面では大関を除外し、関脇・小結だけを三役として扱うと明記しています。
この違いを理解するには、番付上の呼称と制度上の待遇区分を分けて考える必要があります。
一般的な意味での三役
- 大関
- 関脇
- 小結
待遇面での三役
- 関脇
- 小結
つまり、「三役とは何か」という質問に対しては、どの場面で使われている言葉なのかによって答えが変わります。
横綱は三役に含まれる?
現在の制度では、横綱は三役とは別格です。
番付の序列は、次のようになっています。
1. 横綱
2. 大関
3. 関脇
4. 小結
5. 前頭
横綱は三役の上に位置する最高位であり、通常の三役には含まれません。
ただし、歴史を振り返ると事情が異なります。
明治42年(1909年)に横綱が正式に力士の最高位となる以前は、大関が番付上の最高位でした。その時代には小結以上を三役とする考え方があり、現在とは地位の整理が異なっていました。
日本相撲協会も、この歴史的経緯と現在の横綱の位置付けを公式解説で紹介しています。
関脇と小結はどちらが上?
序列は関脇が上、小結が下です。
小結は三役への入口に当たる地位であり、関脇は大関昇進を目指す力士が位置する重要な階級です。
なお、同じ地位の中でも東と西に分かれており、原則として東の方が西より上位に位置します。
例えば東関脇は西関脇より上位、東小結は西小結より上位です。
番付を見るときは、地位だけでなく東西の位置も確認すると、力士同士の序列がより正確に分かります。
【2026年最新番付】三役は何人?11月場所の力士を一覧比較
2026年10月29日時点で最新の番付は、10月26日に日本相撲協会が発表した令和8年11月場所(九州場所)の番付です。
11月場所は11月8日から22日まで福岡国際センターで開催されます。
今回の注目は、沖縄県出身として初めて三役に昇進した美ノ海です。新小結として東に名を連ねました。
2026年11月場所の三役以上の番付
| 地位 | 東 | 西 |
|---|---|---|
| 横綱 | 大の里 | 豊昇龍 |
| 大関 | 安青錦 | 琴櫻 |
| 大関 | 霧島 | ― |
| 関脇 | 藤ノ川 | 熱海富士 |
| 小結 | 美ノ海 | 義ノ富士 |
2026年11月場所の注目力士
東関脇・藤ノ川
藤ノ川は2場所連続の関脇です。
2026年9月の秋場所では11勝4敗を記録し、3大関全員を破る活躍を見せました。敢闘賞も受賞しており、今後の大関昇進争いで注目される存在です。
西関脇・熱海富士
熱海富士は4場所連続の関脇で、三役在位は5場所連続となりました。
秋場所では8勝7敗。大関昇進への挑戦は厳しい結果となりましたが、上位での経験を重ねています。
東小結・美ノ海
今回の番付で特に注目したいのが美ノ海です。
- 所属:木瀬部屋
- 新三役:2026年11月場所
- 年齢:33歳5カ月
- 初土俵からの所要場所数:63場所
- 出身:沖縄県
沖縄県出身力士として初めての三役昇進であり、学生相撲出身者としては初土俵から63場所を要した最も遅い新三役昇進となりました。
また、33歳5カ月での新三役は戦後4位の年長記録です。
長年の積み重ねが実を結んだ昇進であり、2026年11月場所の大きな話題となっています。日本相撲協会の番付トピックスにも、これらの記録が掲載されています。
三役の人数は決まっている?
「三役」という名前から3人を想像する人もいますが、実際には3人という意味ではありません。
2026年11月場所の場合、次の人数です。
- 関脇:2人
- 小結:2人
- 合計:4人
大関を含めた一般的な意味での三役なら、3大関を加えて合計7人です。
さらに横綱2人も含めて上位の番付を数えると、合計9人になります。
したがって、三役の人数を尋ねる場合は、大関を含めるのかどうかを確認する必要があります。関脇や小結の人数も、場所によって変動します。
【新三役への道】昇進条件と人数が変わる仕組み
「新三役」とは、力士が初めて三役の地位に昇進することです。
一般的には新小結としての昇進が知られていますが、前頭から関脇に直接昇進するケースもあります。
重要なのは、三役昇進には大関昇進のような明確な勝ち星の目安が設けられていないことです。
三役に昇進するために必要な成績
三役昇進では、主に次のような要素が判断材料になります。
- 前頭上位での勝ち越し
- 横綱・大関など上位力士との対戦成績
- 二桁勝利などの優秀な成績
- 関脇・小結の空き状況
- 番付全体のバランス
例えば、前頭筆頭や前頭2枚目で二桁勝利を挙げれば、三役昇進の有力候補になります。
ただし、10勝を挙げれば必ず小結に昇進できるという単純な仕組みではありません。
反対に、三役に在位している力士が負け越した場合も、必ず同じ結果で降格するわけではなく、成績や番付全体の状況によって判断されます。
大関昇進の条件とは別物
ここで混同しやすいのが、大関昇進の目安です。
大関昇進では、一般的に三役の地位で直近3場所合計33勝以上という目安が知られています。
しかし、これは三役に昇進する条件ではありません。
また、33勝は絶対的な規則ではなく、相撲内容や成績の推移なども考慮されます。
2026年秋場所では、熱海富士の大関昇進が注目されました。報道では、直近3場所の勝ち星に加え、浅香山審判部長(元大関魁皇)が昇進について慎重な見解を示したことも伝えられています。
新三役は力士にとって何が特別なのか
三役への昇進は、単に番付が上がるだけではありません。
関脇や小結になると、横綱・大関との対戦機会が増え、幕内上位の中心的な存在として期待されます。
さらに、三役で安定した成績を残せば、大関昇進への道も開けます。
2026年の美ノ海のように、長い年月をかけて初めて三役に到達する力士もいます。新三役は、その力士が幕内上位で実力を認められた証しでもあります。
【歴代力士】三役を経験して横綱まで上り詰めた名力士
三役は、横綱を目指す力士にとって重要な通過点です。
歴代の横綱にも、関脇や小結を経験して大関、そして横綱へと昇進した力士が数多くいます。
代表的な例が、千代の富士、貴乃花、白鵬です。
千代の富士
日本相撲協会の公式プロフィールによると、新三役は1978年7月場所、新大関は1981年3月場所、新横綱は1981年9月場所でした。
三役から大関、横綱へと着実に地位を上げた代表的な力士です。
貴乃花
新三役は1991年7月場所、新大関は1993年3月場所、新横綱は1995年1月場所です。
若くして三役に昇進し、その後も上位で活躍を続けた力士として知られています。
白鵬
日本相撲協会の公式プロフィールでは、次のような昇進経歴が確認できます。
- 新三役:2005年1月場所
- 新大関:2006年5月場所
- 新横綱:2007年7月場所
三役昇進から約2年半で横綱に到達したことになります。
これらの力士の経歴から分かるのは、三役が単なる上位階級ではなく、横綱を目指す力士の実力を測る重要な段階だということです。
【千秋楽の見どころ】三役揃い踏みと「これより三役」の本当の意味
相撲中継でよく耳にする「これより三役」と「三役揃い踏み」。
どちらも千秋楽の終盤に登場する言葉ですが、意味は異なります。
日本相撲協会の公式クイズでも、この2つはそれぞれ別の内容として説明されています。
「これより三役」とは?
「これより三役」とは、千秋楽で結びの一番を含めて残り3番となった取組を指します。
この最後の3番は「役相撲」とも呼ばれます。
つまり、三役という地位にいる力士だけが出場するという意味ではありません。
その日の番付や取組編成に応じて、横綱や大関が登場することもあります。
三役揃い踏みとは?
三役揃い踏みとは、千秋楽の最後の3番を前に、東西それぞれ3人の力士が土俵に上がり、そろって四股を踏む儀式です。
基本的な流れは次のとおりです。
1. 東方から3人の力士が土俵に上がる。
2. 正面に向かって三角形の隊形を作る。
3. 3人がそろって四股を踏む。
4. 続いて西方から3人が土俵に上がる。
5. 同じように三角形の隊形で四股を踏む。
日本相撲協会の公式解説では、東方は前に2人、後ろに1人、西方は前に1人、後ろに2人という配置が紹介されています。
この儀式に横綱が参加することもあります。
ここが重要なポイントです。
通常の番付上では横綱は三役に含まれません。しかし、三役揃い踏みでは千秋楽最後の3番に出場する力士が儀式に参加するため、横綱も土俵に上がることがあります。
つまり、三役揃い踏みの三役は、番付上の三役と完全に同じ意味ではありません。
最後の3番で勝った力士が受け取るもの
役相撲には、勝者に与えられる特別な品もあります。
| 取組 | 勝者が受け取るもの |
|---|---|
| 最初の一番 | 矢 |
| 2番目の一番 | 弦 |
| 結びの一番 | 弓 |
ただし、結びの一番で勝った力士に渡される弓は、その後に行われる弓取式の担当力士が代わりに受け取ります。
日本相撲協会の解説によれば、これは武家時代に弓や矢などが褒美として渡されていた名残です。
千秋楽の最後に行われる3番は、通常の取組とは異なる伝統的な演出と儀式が組み合わさった特別な時間なのです。
【待遇と給与】関脇・小結の月給はいくら?大関との違いも解説
三役の待遇を理解するうえで、分かりやすいのが給与です。
日本相撲協会は待遇面での三役を関脇・小結と位置付けており、給与も横綱・大関・三役という区分で整理されています。
2026年10月現在の関取の月額給与は、次のとおりです。
- 横綱:300万円
- 大関:250万円
- 関脇・小結:180万円
- 前頭:140万円
- 十両:110万円
したがって、関脇と小結の月給は同じ180万円です。
2027年1月から給与が引き上げられる
2026年7月30日、日本相撲協会は理事会で力士の給与や手当の改定を発表しました。
2019年以来、8年ぶりの関取給与改定です。
2027年1月の初場所から適用される予定の金額は以下のとおりです。
- 横綱:330万円
- 大関:275万円
- 関脇・小結:200万円
- 前頭:155万円
- 十両:120万円
関脇・小結は現行の180万円から200万円へ、月額20万円の増額となります。
三役の待遇は給与だけではない
三役と大関・横綱の違いは、月給だけではありません。
日本相撲協会の公式説明では、年寄名跡の襲名・継承についても、横綱・大関と関脇・小結では条件が異なることが紹介されています。
これは、現役引退後の親方としての立場にも関係する制度です。
また、十両以上の力士は「関取」と呼ばれ、月給のほかにも力士褒賞金、賞金、懸賞金などの収入があります。
そのため、月給だけを比較して実際の年収を判断することはできません。
三役への昇進は、現役時代の待遇だけでなく、その後の相撲人生にも影響する重要な節目なのです。
【相撲の三役】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:相撲の三役とは何ですか?
A1:一般的には大関・関脇・小結の3階級を指します。ただし、待遇面では大関を除き、関脇と小結のみを三役と呼びます。
Q2:横綱は三役に含まれますか?
A2:現在の番付制度では含まれません。横綱は三役とは別格の最高位です。ただし、千秋楽の三役揃い踏みには横綱が参加することがあります。
Q3:関脇と小結はどちらが上ですか?
A3:関脇が上です。番付上は横綱、大関、関脇、小結、前頭の順になります。
Q4:三役は何人いますか?
A4:固定された3人ではありません。2026年11月場所では関脇2人、小結2人の合計4人です。大関を含めた広い意味では7人となります。
Q5:新三役とは何ですか?
A5:力士が初めて関脇または小結に昇進することです。2026年11月場所では、美ノ海が沖縄県出身初の新三役として小結に昇進しました。
Q6:三役に昇進するには何勝必要ですか?
A6:三役昇進に一律の勝ち星基準はありません。前頭上位での成績、上位力士との対戦結果、番付の空き状況などが考慮されます。大関昇進で知られる3場所33勝の目安とは別の話です。
Q7:三役揃い踏みと「これより三役」は同じ意味ですか?
A7:違います。「これより三役」は千秋楽の最後の3番を指し、「三役揃い踏み」はその3番の前に東西各3人が土俵で四股を踏む儀式です。
Q8:三役の給料はいくらですか?
A8:2026年12月までは関脇・小結ともに月額180万円です。2027年1月からは200万円に引き上げられる予定です。
まとめ:三役の意味を知れば大相撲の番付がもっと面白くなる
相撲の三役は、一般的には大関・関脇・小結を指します。しかし、日本相撲協会が説明しているように、待遇面では大関を除いた関脇・小結だけが三役として扱われます。
横綱は現在の制度では別格の最高位であり、三役には含まれません。
2026年11月場所では、藤ノ川と熱海富士が関脇、美ノ海と義ノ富士が小結に名を連ねています。なかでも、美ノ海の沖縄県出身初の三役昇進は、今場所を象徴する話題です。
相撲観戦で押さえておきたいポイントは、次の3つです。
- 番付を読むとき:大関・関脇・小結の序列と、東西の上下関係を確認する。
- 待遇を調べるとき:大関を除いた関脇・小結が三役という区分を理解する。
- 千秋楽を見るとき:「これより三役」と「三役揃い踏み」を別の意味として捉える。
三役は、上位力士の実力と伝統的な相撲文化が交わる重要な位置です。
新三役の誕生、大関昇進への挑戦、千秋楽の最後の3番。こうした場面で三役の意味を理解しておけば、番付表の見方だけでなく、一番一番に込められた力士の立場や重みまで、より深く楽しめます。 (出典: 相撲 の 三 役(Yahoo!ニュース))